トロリと溶けたチーズをジャガイモにかけるスタイルで人気のラクレット。実は加熱せずに「そのまま」食べても美味しいことをご存じでしょうか。セミハードタイプならではの凝縮されたミルクの旨味と、独特の香りが生む奥深い味わいがあります。温度や合わせる食材にこだわることで、ラクレットの新しい魅力に出会えます。
ラクレットチーズはそのまま食べてもおいしいが食べ方で印象が変わる
ラクレットはスイスやフランスの伝統的なチーズで、もともとは「削り取る」という言葉が語源です。加熱して食べるのが一般的ですが、熟成されたセミハードチーズであるため、そのまま食べても全く問題ありません。加熱時とは異なる、しっかりとした食感とダイレクトに伝わる芳醇な香りを堪能しましょう。
加熱向きだけど冷たいままでも食べられる
ラクレットチーズは、製造工程で加熱圧搾されるセミハードタイプのチーズです。そのため、冷蔵庫から出してそのままスライスして食べることも十分に可能です。加熱するとトロリと溶けてマイルドな味わいになりますが、冷たいまま食べると、チーズ本来の力強いミルクのコクと、ナッツのような香ばしいうま味をより鮮明に感じることができます。
質感はしっとりとしていながらも適度な弾力があり、噛みしめるほどに熟成された深みが口の中に広がります。ただし、ラクレットは「ウォッシュタイプ」に近い性質を持っており、外皮付近に独特の強い香りがあります。そのまま食べる場合は、この香りがダイレクトに届くため、チーズを食べ慣れている方にとっては非常に魅力的な風味となります。一方で、香りが強すぎると感じる場合は、外皮を少し削り取ってから食べると、内側のマイルドな部分だけを美味しくいただけます。
生のラクレットは、ワインのおつまみとしても非常に優秀です。加熱したときのような華やかさとは一味違う、落ち着いた大人の味わいを楽しむことができます。スライスしてそのままクラッカーに載せたり、小さくサイコロ状に切ってサラダのトッピングにしたりと、自由な発想で楽しんでみてください。
香りが強めなので相性の良い食材がある
ラクレットをそのまま食べる際に意識したいのが、その「香り」との付き合い方です。ラクレットは熟成中に塩水などで表面を磨くため、独特の湿ったような、あるいは納豆にも似た力強い発酵臭があります。この香りは加熱すると和らぎますが、そのままの状態では個性が際立ちます。そのため、香りを上手に受け止める、あるいは中和してくれる食材と合わせるのが美味しく食べるコツです。
相性が良いのは、酸味のある食材や香りの強いハーブ類です。例えば、ピクルスやシルバーオニオンなどの酢漬けは、ラクレットの濃厚な脂分と強い香りを口の中でリフレッシュさせてくれます。また、黒胡椒をたっぷり振ることで、香りのインパクトに負けないスパイシーな刺激が加わり、全体の味が引き締まります。
リンゴや洋梨といったフルーツとの組み合わせも意外なほどマッチします。フルーツの爽やかな甘みがラクレットの塩気とぶつかり合い、複雑で贅沢な余韻を生み出します。そのまま食べるからこそ、食材同士の個性がダイレクトに響き合う楽しさがあります。自分の好みに合った「香り」のバランスを見つけることで、ラクレットの奥深さにさらにハマっていくことでしょう。
塩気とコクがあるので少量でも満足しやすい
ラクレットチーズは熟成が進んでいるため、水分が少なく塩分が凝縮されています。そのため、他のフレッシュチーズなどと比べると味のインパクトが非常に強く、少量口に含んだだけでも豊かな満足感を得られるのが特徴です。この濃厚なコクは、ナッツやドライフルーツを思わせる奥行きがあり、時間をかけてゆっくりと味わうのに適しています。
食事のメインとしてではなく、食後のデザートチーズとして、あるいは深夜の静かな晩酌のお供として、少しずつ切り分けて楽しむのがおすすめです。しっかりとした塩気があるため、合わせる飲み物はボディの強い赤ワインや、香ばしい風味のある麦酒、さらには少し癖のある日本酒などとも意外なほどよく合います。
少量で満足できるということは、それだけ「旨味が詰まっている」という証拠です。そのまま食べる際は、一度にたくさん頬張るのではなく、薄くスライスしたものを舌の上でゆっくりと溶かすように味わってみてください。体温で脂分が溶け出すとともに、蓄えられたアミノ酸の旨味がじんわりと広がり、ラクレットの真のポテンシャルを体感できるはずです。
常温に戻すと風味が広がりやすい
ラクレットチーズをそのまま食べる際、最も大切なポイントが「温度」です。冷蔵庫から出したばかりの冷え切った状態では、チーズの脂分が固まっており、本来の豊かな香りが閉ざされたままになっています。食べる30分から1時間ほど前に冷蔵庫から出し、室温に戻しておくことで、ラクレットは見違えるほど美味しくなります。
常温に戻るにつれて、チーズの表面がわずかに汗をかいたようになり、脂分が柔らかくなります。この状態になると、閉じ込められていた香りの成分が空気中に放たれ、口に入れた瞬間の風味の広がりが劇的に向上します。テクスチャーも冷たいときの硬さが取れ、滑らかでクリーミーな舌触りへと変化します。
「そのまま食べる」ということは、加熱という魔法を使わずにチーズの素顔と向き合うことです。だからこそ、温度という条件を整えてあげるだけで、その素顔はぐっと魅力的になります。冬場なら少し長めに、夏場なら短めに、季節に合わせて室温に馴染ませる時間を調整してください。このひと手間で、ラクレットは最高のパフォーマンスを見せてくれます。
ラクレットをそのまま楽しめるおすすめ商品6選
本格的なスイス産から使いやすいスライスタイプまで、そのまま食べても美味しい厳選商品をご紹介します。家庭での楽しみを広げる便利な器具も合わせてチェックしましょう。
| 商品カテゴリ | おすすめ商品名 | 特徴・魅力 | 公式・詳細リンク |
|---|---|---|---|
| スイス産 | Emmi ラクレットスライス | 本場スイスの濃厚な味わい。スライス済みでそのまま食べやすい | Emmi 公式サイト |
| フランス産 | Entremont ラクレットブロック | フランス産ならではのマイルドなコク。好きな厚さに切って楽しめる | Entremont 公式 |
| パウダー | ラクレット入り粉チーズ | 仕上げに振るだけでラクレットの香りをプラスできる便利アイテム | 各種通販サイト等 |
| ミックス | チーズフォンデュ用ラクレット | 他のチーズと混ざることで香りがマイルドになり、そのままも美味 | ル・ルスティック公式サイト |
| 調理器具 | レコルト ラクレットグリル | 家庭で手軽に「溶かす」を楽しめる。そのまま食べる合間のアクセントに | レコルト公式サイト |
| ミニ器具 | ヌーベル ラクレットヒーター | ティーライトキャンドルで温める。卓上で少しずつ溶かして味わえる | 各種キッチン用品店 |
そのまま食べるときのコツとおいしいアレンジ
ラクレットをそのまま食べる魅力を最大限に引き出すための、具体的なテクニックとアレンジ方法をまとめました。少しの工夫で、日常の食卓がレストランのような本格的な空間に変わります。
常温に少し置いて香りを引き出す
ラクレット本来のポテンシャルを引き出す基本中の基本は、やはり常温に戻すことです。目安としては、指でチーズの表面を軽く触れたときに、体温でわずかに脂が溶けるのを感じるくらいがベストです。室温に戻ることで、ラクレット特有の力強い「山のチーズ」らしい香りが目覚め、一口ごとに鼻から抜ける芳醇な余韻を楽しむことができます。
[Image showing a close-up of a raclette slice at room temperature]
もし外皮の香りが強すぎると感じる場合は、常温に戻す前に皮の部分を数ミリほど切り落としておきましょう。内側の白い部分は非常にクリーミーで、ナッツのような甘みが強いので、チーズ初心者の方でもそのまま美味しくいただけます。逆にチーズ好きの方は、皮付きのまま常温に戻すことで、複雑に絡み合う発酵の香りとミルクのコクをダイレクトに堪能してください。
また、常温に戻したラクレットを薄くスライスし、空気に触れさせながらお皿に並べることで、さらに香りが立ちやすくなります。急いでいるときでも、少なくとも15分は置いてから口に運んでみてください。その違いに驚くはずです。
じゃがいもやパンと合わせて塩気を整える
加熱して食べる際の大定番である「じゃがいも」や「パン」は、そのまま食べる際にも最高のパートナーになります。ラクレットは塩気が強いため、主食となる食材と合わせることで、味のバランスが完璧に整います。茹でたてのジャガイモを少し冷まし、その上に薄くスライスした生のラクレットを載せてみてください。
予熱でチーズがわずかに柔らかくなり、じゃがいものホクホク感とラクレットの弾力ある食感が絶妙に混ざり合います。パンに合わせるなら、ライ麦パンやカンパーニュのような、少し酸味や雑味のあるハード系のパンがおすすめです。パンの香ばしさとラクレットの濃厚なコクが、お互いを引き立て合います。
ここに少量の有塩バターを薄く塗るのも贅沢なアレンジです。乳製品同士の重なりが、よりリッチな味わいを生み出します。塩気が足りないと感じることはまずありませんが、もし物足りなければ岩塩をひと振りしてみてください。シンプルながら、これ以上に完成された組み合わせはありません。
生ハムやナッツで旨みを重ねる
さらにお酒に合うおつまみとして進化させるなら、旨味の強い食材を重ねてみましょう。特におすすめなのが、生ハムやサラミといった熟成肉との組み合わせです。肉の動物的な旨味と、ラクレットの発酵由来の旨味は相乗効果を生み、一口ごとの満足度を極限まで高めてくれます。
くるみやアーモンドといったナッツ類を添えるのも素晴らしいアイデアです。ラクレット自体に潜んでいるナッツのような風味と、本物のナッツの香ばしさが同調し、非常にバランスの良い味わいになります。また、ナッツのカリカリとした食感が、ラクレットのしっとりとした質感にアクセントを加えてくれます。
甘いものがお好きな方は、はちみつを数滴垂らしてみてください。ラクレットの強い塩気がはちみつの甘さを引き立て、まるで高級なスイーツを食べているような感覚に陥ります。旨味を重ねることで、ラクレットの個性がさらに多層的に広がり、飽きることなく最後まで楽しめます。
余ったら加熱料理に回して使い切る
もし、そのまま食べきれずに余ってしまった場合でも、ラクレットは加熱料理でその本領を発揮します。冷蔵庫で少し乾燥してしまったとしても、熱を加えれば再びトロリとした最高の質感に戻ります。最も簡単な活用法は、いつもの食パンに載せてチーズトーストにすることです。普通のチーズでは味わえない、濃厚な香りとコクが楽しめます。
グラタンやドリアのトッピングとして使うのも贅沢です。他のチーズ(ピザ用チーズなど)と混ぜて使うことで、ラクレットの強い香りが適度に中和され、料理全体のグレードを一段階引き上げてくれます。また、パスタの仕上げに細かく刻んで混ぜるだけで、一気に本格的なイタリアンやフレンチの装いになります。
ラクレットは、そのままでも温めても美味しい、非常に懐の深いチーズです。「一度に使い切らなきゃ」と焦る必要はありません。まずは生のままの純粋な味を楽しみ、残りは翌日の料理で魔法のように溶かして味わう。そんな二段構えの楽しみ方ができるのも、ラクレットの大きな魅力の一つです。
ラクレットチーズはそのままでも温めても楽しみが広がる
ラクレットチーズは、そのダイナミックな「溶ける姿」に目が行きがちですが、そのまま食べることで知る素朴で力強い美味しさもあります。山の厳しい自然の中で育まれたミルクの力が、熟成を経てギュッと凝縮されたその一欠片は、まさに美食の結晶です。
加熱してトロトロにする贅沢も、常温でじっくりと香りを愛でる贅沢も、どちらもラクレットの正解です。その日の気分や合わせる飲み物に合わせて、自由なスタイルで向き合ってみてください。正しい知識と少しのアレンジで、ラクレットはあなたの食卓に豊かな彩りと幸せな時間をもたらしてくれることでしょう。“`
