イタリアといえばワインのイメージが強いですが、実はクラフトビールの世界でも非常に高い評価を受けています。食文化が豊かな国らしく、料理との相性を考え抜かれた繊細で独創的なビールが数多く誕生しています。自分好みのスタイルを見つけるためのポイントと、現地でも愛される珠玉の銘柄をご紹介します。
イタリアのクラフトビールのおすすめは「苦味」「香り」「麦のコク」で選ぶと好みに寄せやすい
イタリアのクラフトビールは、造り手の個性が強く反映されています。選ぶ際は、自分が「ビールのどの要素を楽しみたいか」を基準にすると失敗が少なくなります。特に注目したい3つのポイントから、スタイルの違いを見ていきましょう。
IPA系はホップ香と苦味の輪郭が出やすい
IPA(インディア・ペールエール)は、ホップを贅沢に使用しているのが最大の特徴です。イタリアの造り手たちが手がけるIPAは、単に苦いだけでなく、柑橘類やトロピカルフルーツ、あるいはハーブのような華やかな香りを引き出すのが非常に上手です。グラスに注いだ瞬間に立ち上がる鮮烈な香りは、一度体験すると忘れられないほどのインパクトがあります。
味わいについては、ホップ由来のしっかりとした苦味が輪郭を作り、それを支える麦芽の甘みがバランスを整えています。イタリアのIPAは食中酒としてのバランスも考慮されており、苦味が強すぎず、次の一口を誘うようなキレの良さを持つものが多く見られます。脂の乗った肉料理や、スパイスを効かせた料理と合わせることで、ホップの香りが口の中をリフレッシュさせてくれます。
苦味が得意な方や、ビールに強い個性を求める方には、IPA系は特におすすめです。同じIPAの中でも、より苦味が強い「ダブルIPA」や、濁りがあってフルーティーな「ヘイジーIPA」など、さらに細かな好みに合わせて選ぶ楽しみもあります。
ピルス系はキレと香りの上品さが出やすい
ピルス(ピルスナー)は、私たちが普段飲み慣れているラガービールの一種ですが、イタリアのクラフトビール界におけるピルスは一味違います。特に「イタリアン・ピルスナー」と呼ばれるスタイルは、伝統的な製法に「ドライホッピング(発酵中にホップを加える手法)」を組み合わせることで、驚くほど上品な香りを纏わせています。
見た目は透き通った黄金色で美しく、口に含むと心地よい麦の風味と、ホップのフローラルな香りが鼻を抜けます。キレのある爽快な喉越しがありながらも、後味には質の良い苦味が残り、非常に優雅な飲み心地を味わえます。イタリアのピルス系は、職人たちの「究極の日常酒」としてのこだわりが詰まったスタイルと言えます。
どのような料理とも合わせやすい万能さがあり、最初の最初の一杯としてだけでなく、繊細な前菜や魚料理と共にゆっくり楽しむのにも適しています。ビールの基本を大切にしつつ、洗練された香りとキレを追求したい方には、このスタイルが最適です。
白ビール系は柑橘感と軽さで飲みやすい
「ビールは苦くて苦手」という方にぜひ試していただきたいのが、白ビール(ウィットビアやヴァイツェン)系です。大麦だけでなく小麦を多く使用しているため、液色は白濁しており、驚くほど滑らかでクリーミーな口当たりが特徴です。イタリアの白ビールは、オレンジピールやコリアンダーといったスパイスに加え、現地の特産であるレモンやベルガモットなどが使われることもあります。
香りはフルーティーで、まるでバナナやスパイス、フレッシュな柑橘を思わせるアロマが漂います。苦味は極めて控えめに抑えられており、柔らかな甘みと爽やかな酸味のバランスが絶妙です。アルコール度数も比較的低めのものが多く、ランチタイムの軽い食事や、リラックスしたい午後のティータイムのような感覚で楽しむことができます。
イタリアの明るい太陽の下で飲むのにふさわしい爽やかさを持っており、サラダやフレッシュチーズ、あるいはフルーツを使ったデザートとも相性が抜群です。軽快な飲み心地と華やかな香りを重視するなら、間違いなく白ビール系が一番の候補になります。
黒ビール系は焙煎の香りと甘みで満足感が出やすい
黒ビール(スタウトやポーター、ドッペルボックなど)系は、焙煎した麦芽(ローストモルト)の香ばしさが魅力のスタイルです。イタリアの醸造所が造る黒ビールは、コーヒーやチョコレート、キャラメルのような深い香りが特徴で、一口飲むごとに重厚な満足感を得られます。寒い季節や、一日の終わりにゆっくりと時間をかけて味わいたい時にぴったりの一杯です。
味わいは、ロースト由来のほろ苦さと共に、麦芽の濃厚な甘みが口の中に広がります。イタリアの黒ビールの中には、地元の栗やカカオ、ハーブなどを使用して、さらに複雑な風味を加えているものもあり、造り手の創造性が遺憾なく発揮されています。苦味、甘み、香りの重なりが非常にリッチで、まるで高級なデザートを味わっているかのような感覚に浸れます。
しっかりとした味の煮込み料理や、グリルした肉料理はもちろん、ティラミスやチョコレートケーキといったスイーツと合わせるのもイタリア流の楽しみ方です。ビールの概念を変えるような、深みのあるコクと香ばしさを求める方にぜひ手に取っていただきたいスタイルです。
イタリアのクラフトビールを楽しめるおすすめ銘柄
イタリアのクラフトビールブームを牽引するトップブランドの中から、日本でも入手しやすく、かつその個性を存分に味わえる銘柄をピックアップしました。
Baladin ISAAC(白ビール系の定番)
イタリアのクラフトビールを語る上で欠かせないのが「バラデン」です。このイザックは、アプリコットのような香りと、コリアンダー、オレンジピールの爽やかさが際立つウィットビアの傑作です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Baladin ISAAC(バラデン・イザック) |
| 特徴 | フルーティーで滑らか、誰にでも愛される爽やかな白ビール |
| 公式サイト | Baladin 公式サイト |
Baladin WAYAN(スパイス感のあるセゾン系)
5種類の穀物と9種類のスパイスを使用した贅沢な銘柄です。複雑でありながら、非常にまとまりのある優雅な香りが楽しめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Baladin WAYAN(バラデン・ワヤン) |
| 特徴 | ペッパーや柑橘が香る、シャンパンのように繊細なセゾン |
| 公式サイト | Baladin 公式サイト |
Baladin Nazionale(イタリア産原料にこだわる系)
イタリア産の水、ホップ、麦芽のみを使用して造られた、100%イタリアン・ビールです。ベルガモットと白コショウが隠し味として使われており、イタリアの矜持を感じさせる一品です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Baladin Nazionale(バラデン・ナツィオナーレ) |
| 特徴 | シンプルながら、イタリア産原料ならではの気品ある香り |
| 公式サイト | Baladin 公式サイト |
Toccalmatto Zona Cesarini(ホップ香が広がるIPA)
「トッカルマット」は世界中に熱狂的なファンを持つブランドです。このゾナ・チェザリーニは、太平洋産のホップを多用し、マンゴーやパッションフルーツのようなトロピカルな香りが爆発します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Toccalmatto Zona Cesarini(ゾナ・チェザリーニ) |
| 特徴 | 鮮烈なホップの香りと、クリーンな苦味が同居するIPA |
| 公式サイト | Toccalmatto 公式サイト |
Brewfist Spaceman(ウエストコーストIPA系)
「ブリューフィスト」は力強く現代的なビール造りが得意な醸造所です。スペースマンは、カリフォルニアのIPAをリスペクトした、ホップの苦味がビシッと効いた飲み応えのある一杯です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Brewfist Spaceman(スペースマン) |
| 特徴 | 柑橘と松の香りが漂う、パワフルで王道のIPA |
| 公式サイト | Brewfist 公式サイト |
Birrificio Italiano Tipopils(ピルス系の代表格)
「イタリアン・ピルスナー」の元祖とも言える伝説的な銘柄です。徹底した品質管理と、ドライホッピングによるフローラルなアロマは、世界中の醸造家に影響を与えました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Birrificio Italiano Tipopils(チポピルス) |
| 特徴 | ピルスナーの概念を覆す、エレガントなホップの香りと苦味 |
| 公式サイト | Birrificio Italiano 公式サイト |
Birrificio Lambrate Porpora(香りと飲みごたえの赤系)
ミラノの老舗「ランブラーテ」が手がける、深みのある赤色が美しいドッペルボックです。トーストしたパンのような香ばしさと、熟した果実の甘みが重なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品名 | Birrificio Lambrate Porpora(ポルポラ) |
| 特徴 | 濃厚なモルトの旨みがあり、アルコール感も心地よい赤ビール |
| 公式サイト | Birrificio Lambrate 公式サイト |
買い方と飲み方でイタリアクラフトビールはもっと楽しくなる
イタリアのクラフトビールは、その繊細さゆえに、選び方や楽しみ方一つで体験の質が大きく変わります。本場の味わいを最大限に引き出すための、具体的なコツを知っておきましょう。
通販は輸入元と入荷ロットで鮮度を確認しやすい
クラフトビール、特にホップの香りを重視するIPAなどは「鮮度」が命です。通販で購入する際は、輸入元がしっかりと冷蔵輸送(クール便)や冷蔵倉庫での管理を行っているかを確認しましょう。イタリアからの長旅を経て日本に届くため、温度管理が徹底されていないと、自慢の香りが劣化してしまいます。
また、商品ページに「入荷日」や「賞味期限」が明記されているショップを選ぶのが安心です。入荷したばかりの新ロットを狙えば、醸造所が意図したフレッシュなアロマを存分に楽しめます。一方で、黒ビールなどの熟成が進んでも美味しいスタイルであれば、それほど鮮度に神経質になる必要はありませんが、それでも適切な環境で保管されていたものを選ぶことが、ハズレを引かないための秘訣です。
最近ではクラフトビール専門のインポーターが運営するECサイトも増えており、現地直送の希少な銘柄を最高の状態で手に入れることができます。お気に入りの輸入元を見つけておくのも、ビール選びが楽しくなるポイントです。
料理は生ハムやチーズ パスタと合わせやすい
イタリアのビール造りにおいて「料理との相性」は欠かせない要素です。例えば、爽快なピルスナーは塩気の効いたプロシュート(生ハム)の脂をスッキリと流してくれます。香りの強いIPAは、ペッパーを効かせたカルボナーラや、ゴルゴンゾーラチーズを使ったパスタなど、パンチのある味付けの料理とよく調和します。
白ビール系であれば、カプレーゼのようなフレッシュなトマトとモッツァレラ、あるいはレモンを絞ったボンゴレ・ビアンコなどがおすすめです。ビールの柑橘感と料理の酸味が同調し、爽やかなマリアージュが生まれます。逆に濃厚な黒ビールは、じっくり煮込んだボロネーゼや、ビターチョコレートを使ったデザートと共に楽しんでみてください。
「ワインの代わりにビールを合わせる」という発想を持つだけで、イタリアンの楽しみ方は何倍にも広がります。料理の素材やソースの重さに合わせてビールのスタイルを選ぶ、そのプロセスそのものがイタリア流の豊かな食体験になります。
温度は冷やしすぎず香りを立てると印象が変わる
ビールといえば「キンキンに冷やして」と思われがちですが、香りが豊かなイタリアのクラフトビールの場合は注意が必要です。あまりに冷たすぎると、人間の舌は味や香りを感じにくくなってしまいます。特にエール系や黒ビール系は、少し温度を上げることで、隠れていた複雑なアロマや麦の甘みが花開きます。
目安として、ピルスナーや軽い白ビールは5〜8度程度、IPAやセゾンは8〜12度、濃厚な黒ビールは12〜15度くらいが理想的です。冷蔵庫から出してすぐの状態よりも、少しだけグラスの中で置いておき、温度が上がっていく過程での香りの変化を楽しむのがプロの味わい方です。
冷たさによる喉越しだけでなく、温度の変化によって現れる奥行きのある風味こそがクラフトビールの醍醐味です。そのビールが持つポテンシャルを最大限に引き出すために、ぜひ温度にもこだわってみてください。驚くほど印象が変わるはずです。
グラスは香りが集まる形だと個性が分かりやすい
注ぐグラスを変えるだけで、ビールの美味しさは劇的に変わります。イタリアの造り手たちは、香りを非常に大切にするため、口が少しすぼまった「チューリップ型」や、ワイングラスのような形状のグラスを推奨することが多いです。この形状は、ビールの香りを中央に集め、飲む瞬間に鼻孔をいっぱいに満たしてくれます。
IPAのような華やかな香りのビールは、膨らみのあるグラスで香りを溜め込むのが良いでしょう。一方で、キレを楽しみたいピルスナーは、背が高く細身のグラス(フルート型やピルスナーグラス)に注ぐことで、炭酸の刺激と喉越しが強調されます。また、濃厚な黒ビールであれば、ブランデーグラスのような底が広いタイプで、手の体温を伝えながらゆっくりと香りを立たせるのも素敵です。
専用のグラスがなくても、お手持ちのワイングラスで代用するだけで、缶から直接飲むのとは全く別の飲み物のように感じられます。ビールの美しい色合いを愛でながら、グラスの中で立ち上がる泡と香りを堪能する。そんな五感を使った楽しみ方が、イタリアのクラフトビールにはふさわしいです。
イタリアのクラフトビールおすすめは好みの方向で選ぶと満足度が上がる
イタリアのクラフトビールは、造り手の情熱と伝統的な食文化、そして遊び心が融合した素晴らしい飲み物です。「ビールはどれも同じ」という先入観を捨てて、苦味、香り、麦のコクといった要素に注目して選べば、必ずあなたを虜にする一品に出会えるはずです。
バラデンのような世界的な定番から、職人気質の小さな醸造所の銘柄まで、その多様性は尽きることがありません。今回の選び方や銘柄、そして楽しみ方のコツを参考に、ぜひあなたのお気に入りを見つけてみてください。イタリアンの食卓に、ワインに負けないほど優雅で奥深い彩りを添えてくれることでしょう。
